会社設立後に必要となる「法人口座の開設」。事業資金の管理や取引の入金・支払いなどビジネスを円滑に進めるためには欠かせないステップです。
しかし銀行によって審査基準や手続き方法が異なり、「どこで口座を開くべきか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事ではバーチャルオフィスを利用して法人口座を開設したい方に向けて、おすすめの銀行やネット銀行をわかりやすくご紹介します。
それぞれの特徴や開設のしやすさ、手数料、サポート体制などを比較しながらあなたの事業スタイルに合った最適な口座選びをサポート。初めての方でも安心して法人口座を開設できるよう、ポイントを分かりやすく解説します。
口座開設できたという声が多い銀行
銀行によって口座開設の難易度は異なっています。銀行種類ごとの口座開設の可能性をまとめるとこのようになります。
都市銀行 (メガバンク) |
可能性あり | ・バーチャルオフィスという理由だけで断ることはないという銀行が多い。 |
ゆうちょ | 可能性あり | ・開設できたという声も多数ある。バーチャルオフィスという理由だけで断ることはない。 |
地方銀行 | 可能性あり | ・郵便物が確実に届くなどの条件付きであれば開設できるという銀行もある。 |
ネット銀行 | 可能性あり | ・バーチャルオフィスという理由だけで断ることはないという銀行が多い。 ・不正利用防止の観点からバーチャルオフィスは断っていると明言する銀行もある。 |
信用金庫・ 信用組合 |
難易度は高い | ・登記住所と仕事場異なるので開設はできないという銀行が多い。 |
法人口座開設できるおすすめの銀行は??
バーチャルオフィスを利用していても口座開設の実績が多い金融機関を以下の表にまとめました。
また口座開設を検討する際に参考になるよう、月額料金や振込手数料などの情報もあわせて掲載しています。ぜひ活用してください。
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GMOあおぞらネット 銀行 |
住信SBIネット銀行 | 三井住友銀行 「Trunk」 |
PayPay銀行 | 楽天銀行 | 三菱UFJ銀行 | みずほ銀行 | |
月額料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 1,760円 | 3,300円 |
振込手数料(同行宛) | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 52円 | 110~330円 | 0~440円 |
振込手数料(他行宛) | 129~143円 | 130~145円 | 145円 | 145円 | 150~229円 | 484~660円 | 490~660円 |
ATM手数料 | 110円 | 110円 | 0~330円 | 0~165円 | 220~275円 | 110~220円 | 0~220円 |
口座開設日数 | 最短即日 | 最短翌営業日 | 最短翌営業日 | 最短即日 | 2~3週間後 | 1ヶ月程度 | 最短翌営業日 |
GMOあおぞらネット銀行

- 設立直後で実績がまだない企業
- バーチャルオフィスやシェアオフィスを使用している企業
- とにかく早く口座を開設したい企業
- 振込手数料を抑えたい企業
GMOあおぞらネット銀行はGMOインターネットグループとあおぞら銀行が共同で設立したネット銀行で、2018年にサービスを開始した比較的新しい銀行です。法人口座サービスに特化しておりスタートアップや中小企業から高い支持を集めています。
最大の特徴は審査の速さと通りやすさです。すべての手続きがオンラインで完結し、書類に不備がなければ最短即日で口座開設が可能。設立間もない企業やバーチャルオフィス利用企業でも審査に通りやすいと評判でメガバンクで断られた企業がスムーズに開設できた事例も多くあります。
さらにfreee・マネーフォワード・弥生会計などの主要会計ソフトと簡単に連携できるため、経理管理を効率化したい法人にもおすすめです。
住信SBIネット銀行

- セキュリティを重視する企業
- 振込手数料を抑えつつ、信頼性も求める企業
- 外貨取引が多い企業
- デビットカードを活用したい企業
住信SBIネット銀行は三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同で設立したネット銀行です。個人向けサービスで人気が高く、法人向けサービスも非常に充実しています。2007年から法人口座を提供しており、ネット銀行の中でも実績と信頼があります。
最大の特徴はセキュリティの高さと安心感です。三井住友信託銀行グループの信頼性に加え、ワンタイムパスワードや電子証明書、二段階認証など多層的なセキュリティ対策を導入。不正アクセスのリスクを最小限に抑えています。
また法人口座開設に必要な書類は代表者の本人確認書類(運転免許証)のみで、登記簿謄本や印鑑証明書は不要。最短翌日に取引が開始でき、開設時にはデビットカードも自動で発行される点も魅力です。
三井住友銀行「Trunk」

- メガバンクの信頼性が欲しいが、柔軟な対応も求める企業
- 大手企業との取引が多い企業
- 対面でのサポートを重視する企業
三菱UFJ銀行と並ぶ日本の二大メガバンクの一つで、特に関西圏に強い基盤を持つのが三井住友銀行です。SMBCグループとして幅広い金融サービスを展開しており、中小企業や個人事業主にも親しみやすいサポート体制が整っています。
SMBCベンチャーキャピタルとの連携により、資金調達支援・ビジネスマッチング・経営相談など成長企業を後押しするサポートが充実しています。スタートアップ向けの特別プログラムもあり、メガバンクの中では比較的ベンチャーに理解のある銀行といえるでしょう。さらに給与振込を三井住友銀行口座に指定することで口座維持手数料が無料になるなど、利用者に嬉しい優遇措置も用意されています。
PayPay銀行

- PayPayをビジネスで活用している企業
- とにかく振込手数料を抑えたい企業
- デビットカードで経費管理を効率化したい企業
PayPay銀行は高い利便性・優遇された手数料・スマホでの使いやすさが魅力のネット銀行です。
法人や個人事業主の場合、「PayPay銀行宛と他行宛の振込を合わせて月5回まで無料」という手数料優遇があり、さらに口座開設後の一定期間は他行宛振込の無料回数が増える特典も用意されています。これにより創業間もない企業や小規模事業者でも、資金管理コストを大幅に抑えることが可能です。
また給与や仕入れの一括振込機能を備えており、大量の振込をWEB上でまとめて処理できます。これにより事務作業の手間を削減しつつ、ミスの少ない効率的な資金管理を実現します。
さらにfreee・弥生会計・マネーフォワードなど主要なクラウド会計ソフトとスムーズに連携でき、入出金明細を自動で取り込むことが可能です。
楽天銀行

- 楽天市場で販売している、または予定がある企業
- 創業直後で初期コストを抑えたい企業
- 楽天グループのサービスを多く利用している企業
楽天銀行は楽天グループの各種サービスと連携できる点が大きな魅力で、楽天ペイや楽天市場などを活用する法人に最適な銀行です。決済やポイント管理を一元化できるため、業務効率を高めたい企業にぴったりです。
また楽天銀行同士の振込手数料は一律52円と非常に低コスト。取引先や従業員の給与振込先が楽天銀行の場合、振込コストを大幅に削減できます。さらに口座維持費が無料なので設立したばかりの企業や取引件数の少ない法人でも安心して利用可能です。
加えてネット銀行ならではの利便性も魅力で、夜間や土日祝日でも振込や入金確認ができるため、忙しい経営者やフリーランスにも使いやすい環境が整っています。時間や場所にとらわれずスムーズに資金管理ができる点が、楽天銀行の大きな強みです。
三菱UFJ銀行

- 社会的信用を重視する企業
- 大手企業との取引が多い企業
- 対面でのサポートを重視する企業
日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行は圧倒的な店舗網と信頼性を誇ります。国内外に広がるネットワークを持ち、大企業から中小企業まで幅広い取引実績を築いています。長い歴史と確かな実績に支えられた社会的信用度はまさにトップクラスです。
最大の特徴は圧倒的な信頼性とブランド力です。「三菱UFJ銀行の口座を持っている」というだけで取引先や金融機関からの信頼を得やすく、ビジネス上の信用力を高めることができます。特にBtoB取引ではメガバンクの口座保有が取引条件になるケースもあり、事業をスムーズに進めるための大きな強みとなります。
みずほ銀行

- 大企業との取引が多い企業
- 豊富な金融サービスを利用したい企業
- 将来的に上場を目指している企業
日本の三大メガバンクの一つであり、特に大企業との取引に強みを持つ銀行です。みずほフィナンシャルグループとして銀行業務に加え、信託・証券などの総合的な金融サービスを展開しています。
法人口座を開設することで資金管理はもちろん、融資や決済など経営に関する幅広いサポートを受けやすくなります。特に将来的に銀行との長期的な取引を視野に入れている法人や、安定性・信頼性を重視する企業におすすめです。
またメガバンクならではのブランド力が高く、取引先への印象を良くしたい場合にも適しています。さらに法人口座の開設と同時に、審査不要で法人デビットカードを即時発行できる点も魅力です。
法人口座を開設するメリット
法人口座を開設する主なメリットは以下の通りです。
個人事業用の口座とは異なり、信頼性の向上や経理・資金管理の効率化といった点で大きな利点があります。
- 信頼性・信用度がアップ
- 経理・会計管理がスムーズになる
- 資金調達や融資の審査で有利に!
- 社員の給与振込・経費精算がしやすい
信頼性・信用度がアップ
法人口座を持っていると、取引先やクライアントに「きちんとした法人として運営している」という印象を与えられます。
特に法人名義での振込先があることで、企業間取引における信頼度が格段に上がります。
経理・会計管理がスムーズになる
個人口座と分けておくことで会社の収支を明確に管理でき、経理作業がスムーズになります。
確定申告や決算時に「どの入出金が会社のものか」が明確になるため、税務上のトラブル防止にもつながります。
資金調達や融資の審査で有利に!
銀行や公的機関からの融資を受ける際、法人口座があることは基本条件の一つです。
取引実績のある口座があれば信用履歴として評価されやすくなり、将来的な資金調達がスムーズになります。
社員の給与振込・経費精算がしやすい
従業員がいる場合、法人名義の口座から給与を振り込むのが一般的です。
経費精算も一元管理できるため、経営の見える化や業務効率化にもつながります。
法人口座は「信頼」「管理」「成長」の三本柱を支える重要な基盤。
早めに開設しておくことで、ビジネスをスムーズに展開できます。
法人口座を開設するのに必要な書類
法人口座をスムーズに開設するために、銀行が通常求める書類を紹介します。
- 履歴事項全部証明書(登記事項証明書/登記簿謄本)
- 定款(原本または写し)
- 代表者の本人確認書類(写真付)
- 代表者の印鑑登録証明書(印鑑証明)
- 法人実印・届出印
- 口座開設申込書(銀行所定)
以下には銀行が追加で求めることが多い書類の一例を紹介します。
- 事業内容を説明する資料
- 事業計画書・売上見込み・決算書
- 請求書・契約書の写し
- 株主名簿・取締役名簿
- 賃貸契約書・事務所の検針票等(事業所の所在確認用)
- 代表者の住民票
銀行によって必要書類は異なるため、事前に確認し漏れなく準備することがスムーズな開設のポイントです。
法人口座開設の流れ
法人口座の開設は個人口座よりも審査が厳しく必要書類も多いため、事前の準備が重要となります!

もし審査に落ちてしまったときはどうすれば良い?
銀行の審査は慎重に行われるため、誰もが必ず通るわけではありません。
だからこそ事前の準備が成功のカギです。
過去に落ちた事例を参考に準備のポイントや、もし審査に通らなかった場合の対策も解説します。
審査落ちの主な理由5つ
法人口座の審査は年々厳しさを増しています。
特定業界で不祥事があると、同業種への審査が一時的に厳しくなることも。そんな影響も踏まえつつ、ここではよくある審査落ちのケースとその理由を分かりやすく紹介します。
- 資本金額が低すぎる場合。理想は100万円以上。
- 事業内容が未経験、過去の職歴とまったく異なるもの
- 電話やHPなどの準備不足
- 事業内容が分かりずらい。前例の少ないビジネス内容やスキームが難解なビジネス
- バーチャルオフィスのサービス内容不足(郵便関連が多い)
上記にあてはると必ず審査が通らないということはもちろんありません。
上記を満たしていなくても他のポイントでアピールするこで審査通過に繋がることはありますが、減点項目はできる限り少なくしておいた方がよいでしょう。
審査落ちしてしまったときの対処法について
審査に落ちてしまうことを考えると不安になりますよね。
ここでは万が一法人口座の審査に通らなかった場合に取るべき対処法について、詳しく解説します。

- 他の銀行でチャレンジをする。ネット銀行などは審査が比較的甘め。
- しばらくはビジネス専用の個人口座を作り、実績作りをする。
- 取引先との契約書などの実績作りを強化する。
銀行の審査は人の判断による部分もあるため、担当者との相性で結果が左右されることもあります。
対策としてはまず複数の銀行に申し込むのが有効です。一度落ちても、資本金を増やしたり事業実績を積んだりすれば再チャレンジ可能です。
特にネット銀行はメガバンクやゆうちょ銀行に比べて口座開設のハードルが低め。まずはいくつかのネット銀行に申し込むことをおすすめします。
それでも審査に通らない場合は「本当に事業を行っているのか」を銀行が疑っている可能性があります。そんなときは取引先との契約書など事業の実態を示す書類を用意しましょう。契約書を整えることで銀行に信頼性をしっかりアピールできます。
まとめ
法人口座の開設は事業をスタートする上で欠かせない重要な手続きです。
開設先を選ぶ際は審査の通りやすさや利用の利便性、ネットバンキングの使いやすさ、手数料の有無などをしっかり比較することがポイント。特にネット銀行はスピーディーな審査やオンライン完結の手軽さから、近年多くの起業家やフリーランスに選ばれています。一方で信頼性や対面サポートを重視するならメガバンクや地方銀行も選択肢に入ります。
この記事を参考に自社の規模や目的に合った口座を選び、スムーズな資金管理と信頼される事業運営を始めましょう。